プロジェクトを知る PROJECT STORY プロジェクトストーリー

ブラザー不動産はブラザー工業のグループ企業として、特建・住宅・賃貸の3事業を展開。
その中でも住宅事業は、名古屋市緑区を中心に55年に及ぶ歴史を歩んできました。
今回のプロジェクトストーリーでは、あるモデルハウスを取り上げ、その家づくりに携わった3人に取材。
それぞれのメンバーがどのような想いを抱き、取り組んだのか。その生の声をお伝えします。

PROJECT.01

ブラザー不動産の挑戦が詰まった
―家族と地球を健やかにする家―
「LCCM-NEXT 愛着の家」

PROJECT MEMBER

  • 住宅事業部 注文住宅部

    佐野 2010年入社
  • 住宅事業部 注文住宅部

    畠山 2018年入社
  • 住宅事業部 注文住宅部

    吉野 2018年入社
※社員の所属および掲載内容は、取材当時のものです。

PROJECT OUTLINE

長く安心して住み続けられること。そして、家族全員が心地よいコミュニケーションができること。ブラザー不動産の「LCCM-NEXT愛着の家」は、そんな願いを実現しようと考え、創造した注文住宅モデルハウスです。このプロジェクトでは、設計士や施工監理者が知恵を出し合い、未来に向けたさまざまな課題と人の住まいのあり方を追求・模索しています。ブラザー不動産はこのような試みに挑戦し、実現することで、住宅の新たな価値を生み出しています。

コンセプトは「愛着の家」

 ブラザー不動産の住宅事業は分譲住宅をはじめ、注文住宅、リフォームや間取り変更などのリノベーションまで、幅広く展開している。緑区を中心としながらも、近年では名古屋市内だけでなく、東海市、みよし市、知立市など、その事業エリアを着実に広げている。
 今回紹介するモデルハウスは、名古屋市瑞穂区岳見町にある。閑静な立地環境を持つ岳見町は、高級住宅地として知られるエリアだ。そんな岳見町に2020年、モデルハウス「LCCM-NEXT 愛着の家 ―家族と地球を健やかにする家―(以下、愛着の家)」が完成した。
 注文住宅のモデルハウスは「ブラザー不動産そのもの」を表していると言っていい。つまり愛着の家を見れば、ブラザー不動産が考える家づくりが分かるというわけだ。そのため、家づくりの出発点である「どのようなモデルハウスをつくるのか?」がとても重要となる。実際、プロジェクトメンバーたちは、モデルハウスのコンセプトをそれぞれ持ち寄り、議論しながら決めていったという。その結果生まれたのが、このモデルハウスの名前になっている「愛着の家」である。

長く住み続けられる家であること

 では、具体的に愛着の家とはどのような家を指すのだろうか。設計担当の佐野は言う。
「家族全員が愛着を持てる家とは何か? 私たちは2つの答えを用意しました。ひとつは『長く住み続けられる家』であること。家を建てて30年から40年で解体されてしまう現実がある中、耐震性や耐久性などを向上させることで次世代、次々世代まで持続可能な家をつくることが、愛着につながるのではないかと考えました」。
 長く住み続けられる家を実現するため、プロジェクトチームは国土交通省が定める「LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅」の認定を目指そうと考えた。LCCM住宅とは、運用時に住まいのエネルギー収支をゼロにする「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の考え方をさらに広げ、建築時、運用時、廃棄時において省CO2に取り組み、太陽光発電などを利用したエネルギー創出も考えた住宅のことを指す。さらにプロジェクトチームはそれに満足することなく、ブラザー不動産ならではの付加価値として、リチウムイオン蓄電池や全館空調システムなども採用した「LCCM-NEXT」という独自の基準をつくりあげた。その中でも3人がアピールポイントとして口をそろえて言うのが、内外壁の一部に使用している「SOLIDO(ソリド)」という建材だ。現場の施工監理を行った吉野(きの)は言う。

 「SOLIDOは近年、注目されている建材で住宅に使われるのは珍しいと思います。この選定にはかなり議論を重ね、時間をかけましたね。主成分のセメントは火力発電所で発生する石炭灰や廃棄された外壁の端材を使用していて、着色にはコーヒーショップで使用済みの豆かすを使っているんですよ。塗装をするとセメント本来の質感が失われてしまいますが、コーヒーの豆かすを使用することでセメントの質感を生かしつつ着色ができます。廃棄物を減らすことにもつながり、環境にもいい。おそらくこれからもっと普及していくと思いますよ」。
 SOLIDOは環境にいいだけでなく、その独特の風合いも魅力だ。外壁によく使われるサイディングは、経年すると汚れが蓄積し、劣化した感じになるが、SOLIDOは経年しても古臭い印象にならない。むしろ味わいが増すというのだ。その他にも床材に無垢材を使用するなど、長く住めば住むほど、その時間を家の長所に変える工夫が凝らされている。
 もちろん耐震性も考慮されている。愛着の家には下層部を鉄筋コンクリート造、中・上層階には木と鉄のそれぞれの良さを生かし合う木造テクノストラクチャー工法とした。吉野は「愛着の家が建つ場所は傾斜地であることから、地震や洪水などで土が崩れる可能性もあります。そのため、通常の平地よりも深く基礎を打っているのも特長です」と話す。

間取りの在り方を再構築

 家族全員が愛着を持てる家にするために出した2つめの答えとは何だろうか?
 「2つめは、間取りの在り方を再構築したことです」。佐野と一緒に設計を担当した畠山が話してくれた。
 「これまでLDKは家族全員が集い、談笑する場所でした。しかし、生活の多様化によって家族のコミュニケーションも変化しています。そのため、家族全員が集う場所に加え、家族それぞれが個々の居場所として使えるスペースも併せて提案しました」。
 つまりLDKの常識を疑い、真にコミュニケーションが取りやすい間取りとは何かを根本から考え直したのだ。これはかなり実験的な空間づくりと言える。
 例えば、食卓はあえてL字型のカウンター方式にしている。これはキッチンの近くに配置することで、忙しい朝でも朝食を作りながらすぐ食べられるようにするほか「スティンザー効果」を狙った意図もある。L字にすることで、必然的に斜めに向かい合わせに座ることになるのだが、この位置関係を心理学用語で「カウンセリングポジション」と呼ぶそうだ。お互いの緊張感が緩和され、意見の衝突が起こりにくく、親しい関係を維持できる効果があると言われている。
 また、リビングはキッチンの床の高さから1フロア下げて設計。これはキッチンのカウンターからリビングが良く見えるようにするためだ。さらに個のスペースとして設置した上層階のカウンターは、吹抜けに設けた格子によって着席時には落ち着いた空間に、少し覗き込めば中層階LDKの家族空間とつながりを感じられるようになっている。
 間取りの在り方を再構築したことで、個々のプライベートな時間も、家族で語り合う団らんの時間も、両方を大切にした空間を生み出すことができた。そんな暮らしやすい家なら、自然と愛着が湧いてくるのは想像に容易い。

数多くの制限を独自の魅力に変える

 愛着を持てる家を実現するため、プロジェクトチームは「長く住み続けられること」と「間取りの在り方を再構築したこと」によって、ブラザー不動産が考える注文住宅づくりの思想を具現化しようとした。しかし、そんな家づくりには困難も待ち受けていた。
 「愛着の家の立地が、第一種低層住居専用地域という区域に指定されていることです」と佐野はその理由について語った。
 第一種低層住居専用地域とは、良好な住環境を保護するために10mまたは12mの絶対高さの制限や敷地境界から建物の外壁までの距離を1mまたは1.5m離すこと。さらに建蔽率30%を超えてはいけないなど、住宅の建設に厳しい制限が課せられる(各地域の都市計画によって異なる場合があり)。しかも愛着の家を建てる土地は、建設の難易度が高い傾斜地である。これらの制限をいかに解決し、コンセプト通りの家を建てられるのか。ここが設計者の腕の見せ所である。
 「まず考えたのは、建蔽率30%以内を実現するため建物を3層にすること。さらに傾斜地の高低差を活かし、玄関ホールを下層階、リビングや水回りなどの家族の空間を中層階、パーソナル空間を上層階といった感じに動線が交わらないよう区分しています。また、3層にすることで各部屋へ移動する廊下を極力排除し、各空間の距離を短くしました。そうすることで間取りがコンパクトになり、コストも抑えることができました」と畠山は話す。さらに佐野は 「家の中を明るく保つことにもこだわりました。プライベートガーデンと吹抜けは明るさを維持するためにも効果的です。しかし、明るすぎて眩しく感じてもいけないので、吹抜け部に木の格子を採用することで、入射光をうまく調整。明るいけど眩しくない光環境を実現しました」と付け加える。
 住宅を建てることは、必ずと言っていいほど法律によって何らかの制限がかかる。しかし、その法律を深く理解し遵守しながら、より良い住まいを建てることが求められる。愛着の家は厳しい制限の中でも、魅力を失わない家づくりに取り組むことができたのではないだろうか。

プロジェクトメンバーたちの想い

 2020年2月、メンバーそれぞれが「愛着の家」という共通の目標に向かって困難を乗り越え、注文住宅の“顔”とも言えるモデルハウスを完成させた。当時を振り返って佐野は
「当社がモデルハウス建設を始めた初期の物件なので、思い入れがあります。特にLDKの在り方を再構築し、新しい暮らし方を提案できたのは当社ならではだと自負しています。世代を超えて長く住んでもらえるのがいちばんうれしいですね」と話す。
 「LCCM-NEXTやSOLIDO、無垢の床材など、当社のチャレンジングな試みが詰まったモデルハウスです。その想いに価値を感じてくれるような方に住んでもらいたいです」と吉野も続けて話してくれた。畠山は言う。
 「高性能で素材や間取りのアイデアが詰まったモデルハウスができて、とてもうれしかったですね。長く住むほどに味わいのある経年変化が感じられるし、全館空調の環境の良さもポイントです。この家で新しい家族の在り方を探してもらえるといいですね」。

注文住宅の魅力を
もっと多くのお客様へ

 まっさらな土地の上にお客様の頭の中にある理想の家を具現化していくのが注文住宅である。このモデルハウス「愛着の家」は「もしブラザー不動産と一緒に家づくりをしたら、こんな家がつくれますよ」という一例を示したものだ。
 プロジェクトメンバーは、設計から現場の施工監理まで家づくり全体に携わってきた経験を持つプロフェッショナルばかりだ。現場の経験を設計に、設計の経験を現場に、それぞれフィードバックし、学んでいるからこそブラザー不動産独自のアイデアや提案が生まれる。そんな注文住宅の魅力をもっと多くのお客様へ。緑区を超え、名古屋市を超え、ブラザー不動産のプロジェクトはこれからも拡大を続けていく。

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